エアコンの電気代節約|28℃設定の次に効く6手を実額試算
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エアコンの電気代節約|28℃設定の次に効く6手を実額試算

エアコンの電気代節約で今いちばん効くのは、設定温度をこれ以上いじることではなく「風量を自動にする」「冬の設定温度を1℃下げる」「削減額を自分の単価で計算し直す」の3つです。

環境省の令和5年度 家庭部門のCO2排出実態統計調査(2023年)によると、冷房の設定温度は28℃が最多で29.7%、27℃以上が約6割。つまり多くの読者は「28℃にしましょう」をすでに実行済みで、そこからの伸びしろは小さくなっています。

一方で、資源エネルギー庁が公表する削減kWhを自分の電気料金の最上位段階の単価で計算し直すと、一般的な記事の金額より3割前後大きく出ます。この記事では、その「限界単価」で6つの節電行動を円に引き直し、夏と冬でどちらが効くか、賃貸か持ち物かでどう動くかまで整理します。

ポイント

効果の大きさは「削減kWh × あなたの単価」で決まります。同じ行動でも、月300kWhを超える世帯ほど1kWhあたりの削減額が大きくなります。

エアコンの電気代節約は何から始めるべき?結論

結論は、風量を「自動」にし、フィルターを月1〜2回掃除し、冬の設定温度を1℃下げるの3つです。この3つだけで年間およそ4,000〜5,000円規模の削減が見込めます。

まず着手する順番(効果 ÷ 手間)

手間がほぼゼロで効果が大きい順に並べると、次のとおりです。

  1. 風量を「弱」から「自動」に変える(操作1回)— ダイキン工業のニュースリリース(2024年4月24日)によると、冷房11時間で風量「弱」3.85kWhに対し「自動」2.79kWh。約3割少なく、1カ月の電気代で約990円の差が出たと報告されています。
  2. フィルターを月1〜2回掃除する(1回5分程度)— 資源エネルギー庁の省エネポータルサイトでは、年間31.95kWh・約990円の削減とされています。
  3. 冬の設定温度を21℃→20℃にする(操作1回)— 同サイトでは年間53.08kWh・約1,650円。夏の1℃我慢(約940円)より大きい数字です。
  4. 1日1時間、使用時間を短くする(生活の工夫)— 冷房で約580円、暖房で約1,260円。
  5. 室外機の吹き出し口をふさがない・直射日光を避ける(一度やれば終わり)。
  6. 明細を見て契約と使用量を確認する(月1回3分)— ここで効き目が変わります。

「28℃にしましょう」で止まらないための前提

設定温度の見直しは、すでに終わっている読者が多い施策です。

環境省の家庭CO2統計(2023年)では、冷房設定は28℃が29.7%、27℃が27.8%、26℃が18.3%、25℃が9.7%。27℃以上で約6割に達します。つまり「もう1℃上げる」の余地は、想像より少ないのが実態です。

逆に暖房は23℃以下が5割を超える一方、20℃以下は21%にとどまります。21〜23℃で使っている層には、まだ1℃分の余地が残っています

注意

節約額はすべて条件付きの試算です。資源エネルギー庁の数値は「外気温31℃(冷房)/6℃(暖房)、2.2kW機、1日9時間使用」という前提の年間値であり、住宅の断熱性能・地域・機種・家族構成で結果は変わります。同じ行動をしても金額が一致しないことは普通に起こります。

なぜ思ったより下がらない?主な原因を深掘り

なぜ思ったより下がらない?主な原因を深掘り

電気代が下がりにくい主因は、「設定温度以外の要因」と「単価そのものの上昇」が同時に効いているからです。行動を変えても単価が上がれば請求額は横ばいになります。

原因1: 圧縮機の負荷が見えていない

電気を使っているのは風ではなく、室外機の圧縮機です。

ダイキン工業によると、エアコンの消費電力の約8割は圧縮機が使うとされています。風量を「弱」に絞ると熱交換の効率が落ち、設定温度に届くまで圧縮機が長く働くため、かえって消費電力が増えるという構造です。

「弱にすれば節約」という直感が外れるのは、このためです。

原因2: 単価が上がっている

行動を変えても、1kWhの値段が上がれば請求額は下がりません。

経済産業省のニュースリリース(2026年3月19日)によると、2026年度の再生可能エネルギー発電促進賦課金は1kWhあたり4.18円。月400kWh使用のモデル世帯で月額1,672円・年額20,064円の負担となり、2026年5月検針分から2027年4月検針分まで適用されます。

総務省統計局の家計調査報告(2025年平均)でも、二人以上世帯の「光熱・水道」支出は月24,547円で名目6.2%増・実質2.5%増。努力しても横ばいに見えるのは、単価上昇を打ち消している場合があるということです。

原因3: 節約額の計算単価がそもそも合っていない

多くの節約記事は31円/kWhで計算していますが、これは広告表示用の目安単価です。

全国家庭電気製品公正取引協議会が2022年7月22日に27円/kWhから31円/kWh(税込)へ改定した数字で、現在も広告表示の基準として使われています。一方、資源エネルギー庁がエネこれ(2026年4月17日公開)の試算で用いる単価は31.75円/kWh(令和5年4月〜令和7年12月の全国低圧電灯販売電力量による加重平均、税込・賦課金込)です。

さらに従量電灯Bは3段階料金のため、節約した分は最上位段階の単価から差し引かれます。この差が、次章のシートで効いてきます。

補足

電力量料金の段階制は、旧一般電気事業者の従量電灯プランに残る仕組みです。新電力の単一単価プランや市場連動プランでは段階が無い場合もあるため、まず自分の明細で「電力量料金」の内訳行を確認してください。

電気代 エアコン 節約の効果は結局いくら?限界単価で引き直す

結論は、月300kWhを超える世帯なら、一般的な記事の金額より約3割高い削減額になるということです。6施策すべてを実行した場合、31円換算で約7,600円が、40.49円換算では約9,900円になります。

削減した電力量は、料金表の上から順に消えるのではなく、いちばん高い段階(第3段階)から減っていきます。だから使用量が多い世帯ほど、同じ行動の金額効果が大きくなります。

【限界単価で引き直す節約額シート】

計算式はシンプルです。

年間節約額 = 年間削減kWh × 該当単価

節電行動年間削減kWh①目安31円/kWh②エネ庁31.75円/kWh③第3段階40.49円/kWh④2026年8月・値引後35.99円/kWh
冷房を1℃上げる(27→28℃)30.24約937円約960円約1,224円約1,088円
暖房を1℃下げる(21→20℃)53.08約1,645円約1,685円約2,149円約1,910円
冷房を1日1時間短縮18.78約582円約596円約760円約676円
暖房を1日1時間短縮40.73約1,263円約1,293円約1,649円約1,466円
フィルター清掃(月1〜2回)31.95約990円約1,014円約1,294円約1,150円
風量「弱」→「自動」約71.7 ※約2,223円約2,276円約2,903円約2,580円
6施策すべて実行(合計)約246.5約7,640円約7,824円約9,979円約8,870円

※風量の行のみ、ダイキン工業の実測(冷房11時間で弱3.85kWh/自動2.79kWh=1日1.06kWh差)を、他行と条件をそろえるため冷房期3カ月弱(約68日)で概算した参考値です。他の5行は資源エネルギー庁 省エネポータルサイトの公表値で、いずれも1日9時間使用・2.2kW機・年間の前提です。

3段階料金の「限界単価」とは何か

限界単価とは、次の1kWhを減らしたときに実際に安くなる金額のことです。

東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bは、2026年時点で第1段階(〜120kWh)29.80円/kWh、第2段階(120〜300kWh)36.40円/kWh、第3段階(300kWh超)40.49円/kWhの3段階です(いずれも税込)。

月の使用量が320kWhの家庭が20kWh減らしても、消えるのは第3段階の20kWh分。29.80円ではなく40.49円で効く計算になります。

ポイント

自分がどの段階にいるかは、検針票の「使用量(kWh)」を見れば分かります。月300kWh超なら③の列、200kWh前後なら②に近い列を目安にしてください。

2026年7〜9月は政府の値引きで実質単価が下がる

夏の3カ月だけは、削減額の見え方が変わります。

経済産業省のニュースリリース(2026年6月12日)によると、2026年7月・9月使用分は低圧電気で3.5円/kWh、8月使用分は4.5円/kWhの値引きが適用されます(都市ガスは14.0円/㎥、8月は18.0円/㎥)。申請は不要で、契約中の小売事業者が自動で適用します。

この期間は1kWhの実質単価が下がるため、同じ節電をしても「浮く金額」は一時的に小さく見えます(表の④列)。値引きが終わる10月以降に反動を感じないよう、行動そのものは続けるのが無難です。

まとめ

節約額は「削減kWh」ではなく「削減kWh × 自分の限界単価」で見る。月300kWh超の世帯は一般記事の1.3倍前後、政府値引き中の夏は1.16倍程度が実感値になります。

電気代節約 エアコン 暖房は夏より効く?原因別の見分け方

結論は、同じ行動でも暖房のほうが金額インパクトは約1.8〜2.2倍大きいとされています。冬にこそ効く、というのが公的試算から読み取れる事実です。

【夏より冬に効く:同じ行動の冷房 vs 暖房 比較表】

行動冷房の年間削減額暖房の年間削減額暖房は冷房の何倍1℃あたりの削減率実態として余地があるか
設定温度を1℃緩和約940円(30.24kWh)約1,650円(53.08kWh)約1.76倍冷房 約13%/暖房 約10%冷房=27℃以上が約6割で余地小/暖房=20℃以下は21%にとどまり21〜23℃層に余地あり
1日1時間の使用短縮約580円(18.78kWh)約1,260円(40.73kWh)約2.17倍8月平日は4〜8時間未満が最多24.1%、24時間連続も10.1%
フィルター清掃通年で約990円(31.95kWh)同左通年で有効。月1〜2回が目安

出典:削減額・kWhは資源エネルギー庁 省エネポータルサイト(2026年時点)、削減率と設定温度・使用時間の分布は環境省 令和5年度 家庭部門のCO2排出実態統計調査(2023年)。

冬の設定温度を1℃下げるほうが、夏に1℃我慢するより約1.8倍効くというのが、この表の結論です。

見分け方1: 明細の「月別使用量」を12カ月分見る

自分がどちらのタイプかは、明細のグラフで判断できます。

  • 冬(1〜2月)のほうが山が高い → 暖房型。設定温度と使用時間の見直しが効きます。
  • 夏(8月)のほうが高い → 冷房型。設定温度の余地は小さいので、風量・断熱・室外機に回します。
  • 通年で平坦 → エアコン以外(給湯・冷蔵庫・待機電力)の比率が高い可能性があります。

見分け方2: 設定温度を「実測」で確かめる

リモコンの表示温度と、部屋の実際の温度は一致しません。

温湿度計を人がいる高さ(座位なら床から70〜110cm程度)に置き、リモコン表示との差を見てください。差が大きいなら、原因は設定ではなく気流と断熱側にあります。サーキュレーターで循環させる、カーテンを閉める、といった対処が先です。

注意

暖房の設定温度を下げる工夫は、体調と両立する範囲でお願いします。特に高齢の方や乳幼児のいる家庭では、室温低下によるヒートショックや低体温のリスクがあります。省エネルギー・省資源対策推進会議が2026年5月26日に決定した2026年度夏季の取組でも、家庭向けに「熱中症に注意しながら冷やしすぎない範囲での設定温度緩和」と、健康を前提にした表現が用いられています。無理な我慢は避けてください。

エアコン 電気代節約 自動運転はどう使う?具体的な解決方法

結論は、風量は必ず「自動」、運転モードも「自動」または冷房/暖房固定にし、こまめな入り切りは30分を境に判断するのが基本です。

手順1: 風量を「自動」に固定する(最優先)

リモコンの風量ボタンを「自動」に合わせるだけです。所要時間は10秒程度です。

ダイキン工業の調査(2024年4月24日)では、冷房を日中11時間つけっぱなしにした場合の消費電力量は、風量「弱」3.85kWhに対し「自動」2.79kWh。自動のほうが約3割少なく、1カ月で約990円の差という結果でした。

理由は前述のとおり、消費電力の約8割を占める圧縮機の稼働時間が伸びてしまうためです。「弱でそよ風のほうが省エネそう」という感覚は、この機器では逆になります。

手順2: つけっぱなしか、こまめに切るかを30分で判断する

判断基準は外出時間です。

ダイキン工業の参考資料(2018年2月16日)では、京都市内・築15年マンション2部屋での実測で、30分間隔の外出であれば暖房は「こまめに入り切り」より「つけっぱなし」のほうが消費電力量が小さく、1日の電気代差は約30円と報告されています。ただし同社は「全ケースに当てはまるわけではない」と注記しています。

実務的な目安は次のとおりです。

  1. 30分以内の外出 → つけたまま。
  2. 1時間以上の外出 → 切る。
  3. 判断に迷う中間 → 断熱の弱い部屋(窓が大きい・北向き・最上階)ほど「つけっぱなし」寄りに。

手順3: フィルターを月1〜2回掃除する

所要5分、効果は年約990円(資源エネルギー庁)です。

  1. 運転を止め、電源プラグを抜くかブレーカーを切ります。
  2. 前面パネルを開け、フィルターを手前に引き出します。
  3. ホコリを掃除機で吸ってから、汚れがひどければ水洗いします。
  4. 完全に乾かしてから戻します(濡れたまま戻すとカビの原因になります)。

自動お掃除機能付きの機種でも、ダストボックスは定期的に空にする必要があります。

手順4: 室外機と窓に手を入れる

室外機は熱を捨てる装置です。吹き出し口の前に物を置かない、直射日光が当たるなら日よけを付ける(ただし本体を覆って通風を妨げない)、この2点で十分です。

窓は熱の出入りが最も大きい場所です。夏は外側でさえぎる(すだれ・シェード)、冬は内側で断つ(厚手カーテン・断熱シート)が原則になります。

ポイント

風量自動+フィルター清掃の2つだけで、限界単価40.49円換算なら年約4,200円。操作としては「ボタン1回」と「月5分」です。費用がかからない施策から順に潰すのが合理的です。

ケース別の対処:賃貸・持ち家・部屋サイズで何が正解か

結論は、賃貸の備え付けなら「交渉」、10年超の自己所有なら「部屋サイズ次第で買い替え」、10年未満なら「運用改善」と分岐します。

【運用改善 or 交渉 or 買い替え 3分岐チャート】

Q1. そのエアコンは自分の持ち物ですか、賃貸の備え付けですか?

  • 賃貸の備え付け → Q1-A へ
  • 自分の持ち物 → Q2 へ

Q1-A. 賃貸の備え付けが古い場合

国土交通省住宅局「『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』に関する参考資料」(令和5年3月)では、貸主が設置した設備の経年劣化・通常使用による損耗の回復費用は貸主負担が原則とされ、エアコンを含む設備の耐用年数は6年(6年で残存価値1円)として借主負担割合を計算するとされています。

これは原状回復時の負担区分の考え方であり、「古いから必ず新品に交換される」という意味ではありません。ただし、故障や著しい能力低下がある場合に、費用負担を借主が全額かぶる前提ではないことは押さえておいてよい点です。

管理会社へ連絡する際は、次を書き添えると話が早く進みます。

  1. 設置年・型番(室内機側面または室外機のシールに記載)
  2. 具体的な不具合(冷えない・異音・水漏れ・エラーコード)
  3. 発生時期と頻度
  4. 参照した公的資料(上記ガイドライン参考資料)
注意

ガイドラインは法律ではなく、あくまでトラブル防止の指針です。実際の負担は賃貸借契約書の特約が優先される場合があります。まずは契約書の「設備」「修繕」条項を確認し、判断に迷う場合は自治体の住宅相談窓口や消費生活センター、弁護士等の専門家にご相談ください。

Q2. 自分の持ち物 → 室外機のシールで製造年を確認

  • 10年以上(2010年度基準・APF5.8相当の世代) → Q3 へ
  • 10年未満 → Q4(運用改善)へ

Q3. 部屋サイズで判断する

資源エネルギー庁のエネこれ(2026年4月17日公開)によると、2027年4月から始まる新省エネ基準(2027年度基準)では、6畳用2.2kW機のAPFが5.8(2010年度基準)→6.6になり、光熱費は年約2,760円・平均使用年数14年で約4万円の削減。14畳向け4.0kW機では年約12,600円・14年で約18万円の削減と試算されています。

判定式は次のとおりです。

(残りの想定使用年数)×(サイズ別の年間削減額)>(本体+工事費)なら買い替え優位

機種年間削減額(2010年度基準比)14年累計目安の判断
6畳用 2.2kW約2,760円約4万円本体+工事費と要相談。壊れるまで使う判断も合理的
14畳向け 4.0kW約12,600円約18万円削減額が大きく買い替えが優位になりやすい

部屋が大きいほど買い替え効果は跳ね上がります。リビングの大型機と寝室の小型機では、同じ「10年落ち」でも結論が変わります。

Q4. 明細の月間使用量は300kWhを超えていますか?

超えているなら、削減分は第3段階単価(40.49円/kWh)から減ります。前掲の限界単価シートの③列で再計算してください。買い替えの回収年数も、その分だけ短くなります。

補足

資源エネルギー庁は、2027年度基準について「トップランナー制度はメーカーの出荷台数加重平均に対する規制であり、現在使用中のエアコンを買い替える必要はなく、基準未達製品の販売禁止でもない」と明示しています(2026年4月17日公開)。SNSで「エアコン2027年問題」として値上がり懸念が広がったことへの回答です。慌てた買い替えは不要です。

予防・再発防止のコツ:来年も同じ請求書にしない

結論は、月1回の明細チェックと、季節の入り口での5分メンテを習慣化することです。行動より仕組みで残すほうが続きます。

月1回のチェックリスト(3分)

  • [ ] 使用量(kWh)を記録する(前年同月と比較する)
  • [ ] 300kWhを超えているか確認する(超えていれば限界単価が高い=節電の効きが良い)
  • [ ] 再エネ賦課金の行を見る(2026年度は4.18円/kWh)
  • [ ] 2026年7〜9月使用分は政府の値引きが反映されているか確認する

季節の入り口でやること(各5分)

  1. 5〜6月/11〜12月:フィルター清掃、試運転で異音・異臭・冷暖の効きを確認
  2. 同時期:室外機まわりの物をどける、吹き出し口の前を50cm程度あける
  3. 夏前:窓の外側にすだれ・シェードを設置
  4. 冬前:厚手カーテンや窓の断熱シートを準備、カーテンは床まで届く長さにする

記録が効く理由

節約行動は、効果が請求書に出るまで1〜2カ月かかります。

記録がないと「やったのに変わらない」と感じて途中でやめてしまいます。使用量(kWh)を月次で残しておけば、単価上昇と使用量削減を切り分けられます。請求額ではなくkWhで見るのが、続けるコツです。

まとめ

見るべきは請求額ではなく使用量(kWh)。単価は自分で動かせませんが、kWhは動かせます。月1回3分の記録で、翌年の判断材料が揃います。

専門家・公的情報の見解

結論は、公的機関は「我慢」ではなく「効率」と「健康との両立」を推奨しているという点で一貫しています。

資源エネルギー庁の省エネポータルサイト(2026年時点)では、外気温31℃時に冷房設定を27℃から28℃へ1℃上げると年間30.24kWh・約940円、外気温6℃時に暖房設定を21℃から20℃へ下げると年間53.08kWh・約1,650円の節約になるとされています(いずれも2.2kW機・1日9時間使用)。フィルター清掃(月1〜2回)は年間31.95kWh・約990円です。

省エネルギー・省資源対策推進会議が2026年5月26日に決定した2026年度夏季の省エネルギーの取組では、家庭向けに「熱中症に注意しながら冷やしすぎない範囲での設定温度緩和」が明記されています。設定温度の緩和は、健康を損なわない範囲が前提とされています。

メーカー側の見解も、この方向と矛盾しません。ダイキン工業は、消費電力の約8割を圧縮機が使うという構造から、風量を絞るより「自動」に任せるほうが結果的に消費電力が小さくなると説明しています(2024年4月24日)。「弱風で我慢」は省エネにならない、という点でメーカーと公的試算の示唆は一致しています。

環境省の家庭CO2統計(2023年)が示すのは、設定温度についてはすでに多数派が推奨値に達しているという実態です。したがって次に取り組むべきは、設定温度以外の効率要因(風量・気流・断熱・機器の世代)と、契約・単価の側になります。

補足

数値の前提年に注意してください。省エネポータルの試算は31円/kWh相当の目安、エネこれ(2026年4月17日)の試算は31.75円/kWhです。同じ機関でも記事によって前提単価が異なるため、金額を比べるときは単価をそろえてください。

やってはいけないNG対応

結論は、「弱風で我慢」「1時間ごとの入り切り」「室外機を覆う」の3つは、節約にならないどころか逆効果になり得るという点です。

NG1: 風量を「弱」で固定する

前述のとおり、ダイキン工業の実測では冷房11時間で弱3.85kWh/自動2.79kWhと、「弱」のほうが約3割多く電気を使いました。体感が涼しくないぶん設定温度を下げてしまい、二重に損をするパターンもあります。

NG2: 短時間の外出でこまめに切る

30分程度の外出なら、つけっぱなしのほうが安いケースがあると報告されています(ダイキン工業、2018年)。再起動直後は室温を戻すために圧縮機がフル稼働するためです。ただし同社も全ケースには当てはまらないと注記しており、1時間を超える外出は切るのが基本です。

NG3: 室外機を覆う・囲う

直射日光を避けるのは有効ですが、本体をカバーで包む、周囲を物置のように囲うのは逆効果です。熱を捨てられなくなり、効率が落ちます。日よけは「上からの日射をさえぎる」だけにとどめ、吹き出し口と吸い込み口の風の通り道は確保してください。

NG4: 節約目的で暖房を過度に下げる

金額インパクトは冬のほうが大きいものの、体調リスクと引き換えにするものではありません。特に高齢者・乳幼児・持病のある方がいる家庭では、室温低下のリスクがあります。健康面の判断に迷う場合は、医師等の専門家にご相談ください。

NG5: 「2027年問題」で慌てて買い替える

資源エネルギー庁は、2027年度基準について現在使用中のエアコンを買い替える必要はなく、基準未達製品の販売禁止でもないと明示しています(2026年4月17日公開)。買い替えは「残り使用年数 × 年間削減額 > 本体+工事費」で判断するもので、制度の開始日で判断するものではありません。

注意

この記事の金額はすべて特定条件下の試算です。住宅の断熱性能、地域の気候、機種、家族構成、契約プランによって結果は変わります。契約プランの変更や機器の買い替えなど金額の大きい判断をする際は、ご自身の検針票と各社の最新料金表を確認のうえ、必要に応じて電力会社や販売店にご確認ください。

よくある質問

エアコンの電気代節約で、いちばん効果が大きいのはどれですか?

風量を「自動」にすることです。ダイキン工業の実測(2024年)では冷房11時間で「弱」3.85kWh/「自動」2.79kWhと約3割の差があり、1カ月で約990円の差が出たとされています。操作は1回で費用もかからないため、費用対効果の面で最優先です。

エアコン 電気代節約 自動運転は、本当に安くなるのですか?

多くのケースで安くなるとされています。消費電力の約8割は圧縮機が使うため、風量を絞ると熱交換の効率が下がり圧縮機の稼働が伸びるからです。ただし、部屋の広さや断熱性能、機種によって差が出ます。実測は特定条件下の結果であり、すべての環境で同じ差が出るとは限りません。

電気代節約 エアコン 暖房と冷房では、どちらを優先すべきですか?

金額の面では暖房です。資源エネルギー庁の試算では、設定温度1℃の緩和で冷房約940円に対し暖房約1,650円(約1.76倍)、1日1時間の短縮で冷房約580円に対し暖房約1,260円(約2.17倍)。ただし、暖房の下げすぎは健康リスクを伴うため、体調と相談して無理のない範囲で行ってください。

節約額の計算は31円/kWhで合っていますか?

目安としては使えますが、実態より小さく出ることが多いです。31円/kWhは全国家庭電気製品公正取引協議会が2022年に定めた広告表示用の目安単価で、資源エネルギー庁は2026年の試算に31.75円/kWhを用いています。さらに従量電灯Bでは削減分が最上位段階(東京電力EP第3段階40.49円/kWh)から減るため、月300kWh超の世帯では実際の削減額が3割前後大きくなります。

賃貸の古いエアコンは、自分で買い替えるしかないのですか?

まず管理会社への相談が先です。国土交通省の原状回復ガイドライン参考資料(令和5年3月)では、貸主が設置した設備の経年劣化・通常使用による損耗は貸主負担が原則とされ、エアコンを含む設備は耐用年数6年(6年で残存価値1円)として計算するとされています。ただし契約書の特約が優先される場合があるため、契約内容を確認し、判断に迷う場合は自治体の住宅相談窓口や消費生活センター等にご相談ください。

2026年の夏は、政府の値引きでどれくらい安くなりますか?

経済産業省の発表(2026年6月12日)によると、7月・9月使用分は低圧電気で3.5円/kWh、8月使用分は4.5円/kWhの値引きが適用され、3か月合計で標準世帯5,000円程度の負担軽減とされています。申請は不要で自動適用です。ただし期間限定のため、10月以降は値引き前の単価に戻る点にご留意ください。

まとめ:今日やること

  1. リモコンの風量を「自動」にする(10秒)
  2. フィルターを掃除する(5分)
  3. 検針票で月間使用量(kWh)を確認する(3分)
  4. 300kWh超なら、限界単価シートの③列で自分の削減額を計算する
  5. 室外機の周囲30〜50cmの物をどける
  6. 冬に向けて、暖房設定を1℃下げられるか(体調と相談して)検討する

6施策すべてを実行した場合、限界単価40.49円/kWh換算で年間およそ9,900円という試算になります。金額は条件で変わりますが、「風量自動」と「フィルター清掃」は費用ゼロで今日から始められます。

まとめ

設定温度はすでに多数派が推奨値に到達済み。次の伸びしろは、風量・気流・断熱・機器の世代、そして「自分の限界単価で計算し直すこと」にあります。

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本記事は公表資料に基づく一般的な情報提供であり、特定の契約・購入を推奨するものではありません。電気料金の単価・制度・支援措置は変更される場合があります。契約プランの変更や機器の買い替えなど金額の大きい判断をされる際は、最新の検針票および電力会社・販売店の情報をご確認のうえ、必要に応じて専門家にご相談ください。

参照した主な資料

  • 資源エネルギー庁 省エネポータルサイト「無理のない省エネ節約|空調」(2026年時点)
  • 資源エネルギー庁 エネこれ「27年4月からエアコンの新たな省エネ基準がスタート!」(2026年4月17日公開)
  • 環境省 令和5年度 家庭部門のCO2排出実態統計調査(2023年)
  • 経済産業省 ニュースリリース(2026年3月19日・2026年6月12日)
  • 総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2025年平均
  • 国土交通省住宅局「『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』に関する参考資料」(令和5年3月)
  • 公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会 よくある質問Q&A(2022年)
  • ダイキン工業 ニュースリリース(2024年4月24日)・参考資料(2018年2月16日)

最終確認日:2026年8月3日

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