まな先生解説
こころ質問
すい要点整理
結論:保険 見直しのやり方は「制度→公的保障→差額→商品」の5手順
| 手順 | やること | 所要時間の目安 | この手順がないとどうなるか |
|---|---|---|---|
| ① 制度確認 | 2026年8月・2028年4月・控除特例を自分に当てはめる | 30分 | 古い公的保障額で必要額を計算してしまう |
| ② 公的保障の算出 | 高額療養費・傷病手当金・遺族年金の実額を出す | 60分 | 民間保険で買い過ぎる |
| ③ 差額の計算 | 必要額−公的保障−貯蓄=民間で買う額 | 60分 | 保障額の絶対値で提案を受けてしまう |
| ④ 着手順の決定 | 告知不要・削減額が大きいものから | 30分 | 健康告知が要る生保から触って身動きが取れなくなる |
| ⑤ 契約処理 | 新契約成立→旧契約を減額/解約 | 30〜60分 | 無保険期間・引受謝絶のリスク |
保険の見直しとは:解約以外に5つの選択肢がある

| 手段 | 内容 | 保険料 | 主な向き先 |
|---|---|---|---|
| 減額 | 保障額を下げる(契約は継続) | 下がる | 子の独立後の過大な死亡保障 |
| 特約解約 | 使わない特約だけ外す | 下がる | 重複した入院特約など |
| 払済保険 | 以後の払込を止め、保障額を縮小して継続 | 0になる | 予定利率が高い古い契約を維持したい |
| 延長(定期)保険 | 保障額は維持し、期間を短縮 | 0になる | 一定期間だけ保障を残したい |
| 契約転換 | 現契約の積立を新契約に充当(同一社限定) | 変動 | 慎重な検討が必要 |
補足
「見直し=安くする」ではありません。生命保険文化センターの2025年度調査では、死亡保障の必要額1,569万円に対し加入金額は887万円、医療保障は必要額 日額10,100円に対し加入金額 日額8,500円と、平均では不足側にギャップがあります。削る方向だけが正解ではありません。
【手順①】保険 見直しのタイミングは「制度が動く年」で決まる
2026年8月:高額療養費の自己負担限度額が上がる
2028年4月:遺族厚生年金が原則5年の有期給付になる
2026〜2027年分:生命保険料控除の「6万円特例」
| 制度 | 施行 | 影響する保険 | 見直しでやること |
|---|---|---|---|
| 高額療養費 上限引き上げ・年間上限新設 | 2026年8月 | 医療保険・がん保険 | 自己負担の上限を新しい額で再計算 |
| 高額療養費 13区分化 | 2027年8月 | 医療保険 | 自分の所得区分の再確認 |
| 遺族厚生年金 5年有期化 | 2028年4月 | 死亡保険 | 遺族の受取総額を2パターンで比較 |
| 生命保険料控除 6万円特例 | 2026・2027年分 | 生命保険全般 | 解約時の手取り減を織り込む |
ライフイベント時の観点(一般的な確認事項)
| ライフイベント | 見直しの観点 |
|---|---|
| 結婚 | 配偶者への死亡保障、受取人の変更 |
| 出産 | 教育資金、世帯主の保障増額 |
| 住宅購入 | 団体信用生命保険と死亡保障の重複 |
| 子の独立 | 過大になった死亡保障の縮小 |
| 転職・退職 | 収入変化、社会保険(傷病手当金の有無)の切り替え |
【手順②③】制度改正を織り込んだ必要保障額 再計算シート
A:医療保障の再計算(2026年8月版)
| 行 | 項目 | 計算式 | 記入例(医療費総額100万円・入院15日・会社員) |
|---|---|---|---|
| 1 | 想定入院月の医療費総額 | — | 100万円(3割負担なら窓口30万円) |
| 2 | 高額療養費 現行上限(区分ウ) | 80,100+(総医療費−267,000)×1% | 87,430円 |
| 3 | 2026年8月以降の上限 | 85,800+(総医療費−267,000)×1% | 93,130円(差 +5,700円) |
| 4 | 保険外の実費 | 1日あたり実費×入院日数 | 24,300円×15日=364,500円 |
| 5 | 傷病手当金(会社員のみ) | 標準報酬月額÷30×2/3×休業日数 | 月30万円なら 6,667円×日数 |
| 6 | 必要な一時金 | (行3+行4)−行5−医療用の預貯金 | 上記から自分の貯蓄を差し引く |
B:死亡保障の再計算(2028年4月の有期給付化を織り込む)
| 比較項目 | パターン①現行 | パターン②2028年4月以降 |
|---|---|---|
| 遺族厚生年金の期間 | 要件を満たす限り継続 | 原則5年(要件該当者は継続給付) |
| 5年間の水準 | 現行額 | 有期給付加算で約1.3倍 |
| 収入要件 | 年収850万円未満 | 撤廃 |
| 受取総額(末子18歳まで積み上げ) | 遺族基礎+遺族厚生×年数 | 遺族基礎+遺族厚生×1.3×5年 |
C:解約したときの税効果(手取りへの影響)
- 23歳未満の扶養親族がいる → 令和8・9年分は一般枠の上限が所得税6万円
- 3区分合計の上限12万円・住民税は据え置き
- 控除額 × 所得税率(+住民税10%)が、ざっくりの手取り差
注意
上記はいずれも公表値にもとづく概算です。実際の給付額・控除額は加入状況、所得区分、家族構成で変わります。確定的な金額は日本年金機構・国税庁・加入中の健康保険組合の一次情報でご確認ください。
【手順④】見直しの順番=家計インパクト順マトリクス
| 順 | 対象保険 | 直近の料率・制度の動き | 動く年間金額の目安 | 作業時間 | 健康告知 | 先送りリスク |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ① | 自動車保険 | 参考純率 2026年6月23日届出 平均+14.4%(機構発足以降最大) | 数千〜数万円 | 60分 | 不要 | 更新月を逃すと1年固定 |
| ② | 火災保険 | 2023年6月 参考純率 +13.0%(各社2024年10月反映) | 数千〜数万円 | 60分 | 不要 | 長期契約の途中では動きにくい |
| ③ | 共済への一部置換 | 2025年3月決算 総合保障2型 割戻率 全国平均35.36% | 掛金差分 | 60分 | 加入時に告知あり | 小 |
| ④ | 医療保険 | 2026年8月 高額療養費上限+5,700円・年間上限53万円新設 | 数千〜数万円 | 90分 | 必要 | 健康状態の悪化で選択肢が減る |
| ⑤ | 死亡保険 | 2025年4月 標準生命表改定/2028年4月 遺族年金5年有期化 | 数万円 | 90分 | 必要 | 同上・年齢上昇で保険料増 |
| ⑥ | 貯蓄性保険・個人年金 | 予定利率は1980年代の5〜6%から2017年度0.25%へ低下 | 不可逆 | 慎重に | 不要 | 解約は元に戻せない |
【手順⑤】解約ボタンを押す前の5分岐チャート
Q1:その契約に解約返戻金はあるか
- 0円(掛け捨て) → Q3へ(減額/特約解約/乗り換えの3ルート)
- 金額の記載あり(貯蓄性) → Q2へ
Q2:契約日はいつか
| 契約時期 | 予定利率の水準 | 判断 |
|---|---|---|
| 1992年以前 | 5〜6%(いわゆるお宝契約) | 解約・転換とも原則NG。保険料が払えないなら『払済保険』へ(保障額は下がるが以後の払込は不要、予定利率は維持される) |
| 1993〜2016年 | 段階的に低下 | Q3へ |
| 2017年以降 | 0.25%水準 | Q3へ |
Q3:今の健康状態で新規加入の告知が通るか
- 通らない見込み → 解約せず、減額・特約解約のみで対応(新契約に入れないまま旧契約を失うのが最悪の結果)
- 通る見込み → 2025年4月の標準生命表改定後の商品と保険料を比較して乗り換えを検討
Q4:転換を勧められている場合の必須確認3項目
- 転換後の予定利率は元契約より下がらないか(下がる場合は保険料が上がる)
- 転換価格がいくら新契約の保険料に充当されるか
- 転換以外の代替案(追加契約・特約の中途付加)の説明を受けたか
そして最後に:新契約成立後に旧契約を処理する
注意
告知は正確に行ってください。健康状態や通院歴を伝えずに加入すると、告知義務違反として保険金が支払われない可能性があります。「告知すると入れないかも」と隠すのは、保障そのものが機能しなくなるため逆効果です。
保険 見直しの注意点:無料相談に行く前の自衛チェックリスト7問
- [ ] ① 収益源の確認 — 「こちらの相談料は無料ですが、御社の収益は保険会社からの代理店手数料でしょうか?」
- [ ] ② 手数料差の有無 — 「提案いただく商品ごとに、御社が受け取る手数料の水準に差はありますか?」(金融庁が2025年に割増引率の差を課題視した点を踏まえた質問です)
- [ ] ③ 比較の範囲 — 「取扱保険会社の全社名と、今回比較検討した社数、除外した会社とその理由を教えてください」
- [ ] ④ 転換の代替案 — (転換提案時)「転換後の予定利率と、転換以外の方法=追加契約・特約の中途付加についても説明をお願いします」
- [ ] ⑤ 提案の土台 — 「この保障額は、高額療養費・傷病手当金・遺族年金を差し引いた不足額として算出されていますか?それとも保障額の絶対値ですか?」
- [ ] ⑥ 解約の順番 — 「新契約の成立前に、旧契約の解約書類へのサインを求められていませんか?」(求められたら断ってください)
- [ ] ⑦ 書面の交付 — 「意向把握の記録と、比較推奨理由書の書面交付をお願いします」
そのほかの主な注意点
| つまずき | 何が起きるか | 対処法 |
|---|---|---|
| 保障の重複 | 同じリスクに二重で払う | 団信・勤務先の付加給付を棚卸し |
| 先に解約 | 無保険期間・引受謝絶リスク | 新契約成立後に解約(例外なし) |
| 告知ミス | 告知義務違反で不払いの恐れ | 事実を正確に申告 |
| 条件をそろえず比較 | 安さだけで保障が薄くなる | 保障内容・期間・払込期間をそろえる |
| 返戻金の見落とし | 解約で元本割れ | 解約返戻金額を事前確認 |
| 控除の見落とし | 手取りが想定より減る | 6万円特例の対象かを確認 |
注意
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の商品の推奨や個別の助言ではありません。最適解は契約内容・健康状態・家計状況によって異なります。重要な判断の前に、保険会社や独立系ファイナンシャル・プランナー等の専門家にご相談ください。
ケース別:3つの世帯での判断の分かれ方
ケース1:20代・一人暮らし(扶養者なし・会社員)
- 効く制度:2026年8月の高額療養費引き上げ(+5,700円/月)。ただし絶対額としては小さい
- 確認ポイント:勤務先の傷病手当金・健保組合の付加給付。付加給付があれば医療保険はさらに薄くできる
- フリーランスの場合:傷病手当金がないため、シート行5がゼロ。就業不能への備えの優先度が上がる
- 着手順:自動車保険・火災(借家人賠償を含む)→ 共済比較 → 医療保険
ケース2:30代・子育て世帯(子1人・住宅ローンあり・共働き)
- 効く制度:2028年4月の遺族厚生年金5年有期化。共働きで子がいる世帯は、遺族基礎年金は受け取れるが遺族厚生年金の期間が縮むため、シートBの②−①の差額を必ず計算する
- 税の論点:23歳未満の扶養親族がいれば令和8・9年分は一般枠が所得税6万円。共働きで子がいる場合、いずれの居住者も対象となる取扱いが示されています
- 確認ポイント:団信の保障額、配偶者側の死亡保障(片働き前提で組んでいないか)
ケース3:50代・子の独立後
- 効く制度:2026年8月・2027年8月の高額療養費見直し(年齢的に使う可能性が上がる時期に上限が上がる)
- 最大の注意:古い貯蓄性保険。1992年以前の契約はQ2で「原則解約NG」に該当する可能性が高い
- 着手順:まず減額・特約解約で保険料を下げ、貯蓄性契約には手をつけない
よくある質問
- 厚生労働省保険局「高額療養費制度の見直しについて」(令和7年12月25日)
- 公益財団法人 生命保険文化センター「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査」
- 厚生労働省「令和5年 患者調査」
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)傷病手当金
- 日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」
- 金融庁「保険会社向けの総合的な監督指針」一部改正(案)(2025年5月)
- 損害保険料率算出機構 火災保険・自動車保険 参考純率
- 国税庁 タックスアンサー No.1140 生命保険料控除
最終確認日:2026年8月1日




