変動金利と固定金利の違い|2026年の実額であと何%耐えられるか診断
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変動金利と固定金利の違い|2026年の実額であと何%耐えられるか診断

「変動金利と固定金利、結局どっちを選べばいいのか」——この問いに、いま必要なのは「どちらが得か」ではなく「自分の家計はあと何%の上昇まで耐えられるか」を先に数字で確定させることです。

2026年はすでに金利が動いた年です。日本銀行は2026年6月16日に政策金利を1.0%程度へ引き上げ、三菱UFJ銀行の短期プライムレートは2026年8月3日から2.375%になりました。フラット35の最頻金利は2026年8月に年3.290%と、現行制度で最高を更新しています。「いつか上がるかも」ではなく、すでに上がった後の世界で選び直す局面です。

この記事では、住宅ローンの変動・固定の違いを整理したうえで、上位の解説記事がほとんど触れていない3点——①上昇分が実際の返済額に効くまでの日付レベルのタイムラグ、②5年ルール・125%ルールの出口リスク、③住宅ローンを持たない人にも効いてくる奨学金・教育ローンの変動/固定——まで踏み込みます。

注意

本記事は一般的な情報提供であり、特定の金利タイプや商品を推奨するものではありません。金利や制度は変動します。数値は2026年8月時点の公表値をもとにしており、契約前に必ず金融機関の最新の公表金利と契約書をご確認ください。

結論:まず何をすべきか(3ステップで自分の答えを出す)

最初にやるべきは金利タイプの比較ではなく、「金利が1.0pt上がったら毎月いくら増えるか」を自分の借入額で計算し、手取り月収に対する圧迫率を出すことです。この数字が出れば選択はほぼ自動的に決まります。

順番はこの3つです。

  1. 現在地を確認する:借入残高・残返済期間・適用金利・引き下げ幅(優遇幅)を、金銭消費貸借契約証書か銀行のマイページ(契約内容照会)で確認します。
  2. 耐性ラインを計算する:後述の早見表で「+1.0pt」「+2.0pt」のときの毎月返済額の増加分を確認し、==増加額 ÷ 手取り月収 = 家計の圧迫率==を出します。
  3. 閾値で判断する:圧迫率が3%以内なら変動継続+差額を積立、5%を超えるなら固定期間選択型・全期間固定を検討します。
ポイント

「不安だから固定へ」は2026年ではコストの高い判断になり得ます。変動が0.9〜1.2%台、フラット35が3.290%という現在の差は約2ポイント。乗り換えた瞬間に支払いが増えるため、「何%まで上がったら逆転するか」を計算してからでないと判断できません。

住宅ローンを持っていない方も、この記事は無関係ではありません。奨学金(JASSO第二種)にも利率固定方式と利率見直し方式という変動/固定の選択があり、2026年の水準上昇はここにも及んでいます。詳しくは「住宅ローン以外の変動/固定」のセクションで扱います。

変動金利と固定金利の違いとは?(連動する指標が根本的に違う)

変動金利と固定金利の違いとは?(連動する指標が根本的に違う)

変動金利は短期プライムレート(日銀の政策金利に連動)で決まり、固定金利は10年国債利回りなど長期金利で決まります。連動元が違うため、同じ月でも一方だけが上がることがあります

2026年8月がまさにその状態でした。長期金利の上昇を受けて主要銀行の固定金利がほぼ全面的に引き上げられた一方、変動金利は多くの金融機関で据え置きとなっています(住宅金融支援機構【フラット35】、日本経済新聞 2026年8月報道)。

基本の違いは3行で足りる

変動と固定の対比は、上位記事が繰り返し説明している部分です。要点だけ押さえます。

項目変動金利固定金利
連動する指標短期プライムレート(政策金利)長期金利(10年国債利回りなど)
見直し原則年2回(4月1日・10月1日)の基準金利改定借入時に確定(全期間固定)/期間終了時に再設定(固定期間選択型)
2026年8月の水準0.945〜1.275%(主要行の最優遇)フラット35 最頻 3.290%
向く人上昇分を吸収できる家計・残期間が短い人返済額を固定したい人・返済負担率が高い人
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固定金利には2種類あります。借入から完済まで金利が変わらない全期間固定型(フラット35など)と、10年など一定期間だけ固定して期間終了後に再選択する固定期間選択型です。後者は「固定」と名前が付いていても、期間終了後は再びその時点の金利水準にさらされる点が重要です。

2026年に何が起きたのか(日付で押さえる)

日銀は2026年6月15・16日の金融政策決定会合で、政策金利の誘導目標を0.75%程度から1.0%程度へ引き上げました。政策金利が1.0%台になるのは1995年9月以来、約31年ぶりです(日本銀行 2026年6月 金融政策決定会合)。

これを受けて三菱UFJ銀行は2026年6月16日、短期プライムレートを2.125%から2.375%へ引き上げ、2026年8月3日から適用すると公表しました。同行は同年2月2日にも1.875%→2.125%の改定を実施しており、2026年だけで短プラは0.5ポイント上がったことになります(三菱UFJ銀行 2026年6月16日ニュースリリース)。

補足

短期プライムレートは、銀行が信用力の高い企業に短期で貸し出す際の最優遇金利です。多くの銀行はこれに一定幅を上乗せして変動金利の「基準金利」を決めています。過去の改定履歴は日本銀行「長・短期プライムレート(主要行)の推移」で確認できます。

いつ返済額に反映されるのか?(10月改定→2027年1月の時間差)

短プラが2026年8月3日に上がっても、返済額に効くのは早くて2027年1月頃です。基準金利の改定が10月1日、そこから適用金利への反映まで2〜3か月かかるためです

このタイムラグは、上位記事がほとんど日付レベルで書いていない論点です。三菱UFJ銀行は変動金利の基準金利について、原則として年2回(4月1日・10月1日)改定し、実際の適用に反映されるまで時間差があると案内しています(三菱UFJ銀行「【住宅ローン】変動金利の基準金利見直しについて」)。

反映スケジュールの目安

  1. 2026年6月16日:日銀が政策金利を1.0%程度へ引き上げ決定
  2. 2026年8月3日:三菱UFJ銀行の短期プライムレート2.375%が適用開始
  3. 2026年10月1日:多くの銀行で変動金利の基準金利を改定(見込み)
  4. 2027年1月頃:実際の毎月返済額に反映(見込み)

(3以降は、各行の改定慣行にもとづく見通しです。モゲチェック 2026年8月4日更新の解説も同様の見方を示しています。実際の適用時期は金融機関ごとに異なるため、契約先の案内をご確認ください。)

ポイント

このタイムラグは「猶予期間」として使えます。10月の改定通知が届いてから2027年1月の返済額増加までの約3か月で、増加分を先取りして別口座に積み立てるテストができます。実際に払えるかどうかを、痛みなく試せる期間です。

引き下げ幅は動かない、動くのは基準金利だけ

混同しやすい点を整理します。適用金利は「基準金利 − 引き下げ幅(優遇幅)」で決まります。引き下げ幅は契約時に固定され、原則として完済まで変わりません。上がるのは基準金利のほうです

つまり、契約時に大きな引き下げ幅を得ている人ほど、金利上昇局面でも相対的に有利な位置にいます。逆に、金利タイプを変更する場合の適用金利は「変更時点の基準金利 − 既存の引き下げ幅」で決まるのが一般的で、いま新規で借りる人の店頭表示とは異なります。この実務は銀行公式ページでは詳しく書かれないことが多いため、変更前に必ず窓口で試算を取ってください。

【独自試算】あと何%まで耐えられるか(借入3,000万円モデル)

借入3,000万円・残35年・年0.9%なら毎月返済額は約83,293円。+1.0ptで約97,846円(月+14,553円)、+2.0ptで約113,791円(月+30,498円)になります。この増加額を手取り月収で割った「圧迫率」が判断の物差しです。

元利均等返済の計算式は次の通りです。

M = P × r × (1+r)^n ÷ {(1+r)^n − 1} (P=借入額、r=年利÷12、n=残返済回数)

3,000万円・35年モデルの試算

項目現在(年0.9%)+1.0pt(年1.9%)+2.0pt(年2.9%)
毎月返済額約83,293円約97,846円約113,791円
現在との差額+14,553円+30,498円
年間差額約+17.5万円約+36.6万円
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※上記は本記事の独自試算です(元利均等返済・ボーナス返済なし・諸費用除く)。実際の返済額は金融機関の計算方法や端数処理により異なります。

借入額 × 上昇幅の9マス早見表(毎月の増加額)

借入額(残35年)+0.5pt+1.0pt+2.0pt
1,500万円約+3,600円約+7,300円約+15,200円
3,000万円約+7,200円約+14,600円約+30,500円
4,500万円約+10,800円約+21,800円約+45,700円
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※年0.9%を起点とした本記事の独自試算(概算・百円単位で丸め)。残期間が短いほど増加額は小さくなります。

自分の数字を入れる2ステップ

  1. 圧迫率を出す:上の表から自分の借入額に近い行の「+1.0pt」の増加額を取り、==増加額 ÷ 手取り月収 = 家計の圧迫率==を計算します。手取り月収30万円で+14,600円なら、圧迫率は約4.9%です。
  2. 閾値で判断する
  • 圧迫率3%以内:変動を継続し、差額を繰上返済用の別口座へ自動積立。上がっても手取りから吸収できる範囲です。
  • 圧迫率3〜5%:変動継続だが、繰上返済で残高を圧縮して増加幅そのものを小さくする方向を検討。
  • 圧迫率5%超:固定期間選択型・全期間固定を検討する水準。教育費や車の買い替えと重なると、家計の可処分が一気に細ります。
注意

この閾値は家計の目安であり、絶対的な基準ではありません。教育費のピークや収入の安定性、貯蓄額によって適切なラインは変わります。数値はあくまで判断の出発点として使ってください。

5問で決まる金利タイプ判定チャート

返済負担率・大型支出予定・繰上返済余力・銀行のルール・残期間の5問で、A〜Dの4つの結論に振り分けます。それぞれに「次にやること1つ」を付けました。

順に答えてください。

  1. Q1:返済負担率(年間返済額 ÷ 税込年収)は25%を超えますか?YesならQ5へ直行。NoならQ2へ。
  2. Q2:今後10年以内に、教育費のピークや車の買い替えなど大きな支出予定がありますか?Yesなら結論CNoならQ3へ。
  3. Q3:繰上返済に回せる金融資産が、年収の0.5年分以上ありますか?Yesなら結論ANoならQ4へ。
  4. Q4:自分の借入先に5年ルール・125%ルールがありますか?Yesなら結論BNo(またはソニー銀行・SBI新生銀行など不採用の金融機関)なら結論C
  5. Q5:残返済期間は15年未満ですか?Yesなら結論BNoなら結論D

4つの結論と次にやること

結論方針次にやること1つ
A変動を継続+上昇分を先取り積立+1.0pt相当の増加額を、給料日翌日の自動積立に設定する
B変動継続だが繰上返済で残高を圧縮期間短縮型の繰上返済の手数料と最低金額を、銀行アプリで確認する
C固定期間選択型で支出ピークだけ固定支出ピークが終わる年から逆算し、10年固定・15年固定の適用金利を試算依頼する
D全期間固定への切り替えを検討フラット35(2026年8月最頻3.290%)と現在の変動の総返済額の差を先に試算する
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ポイント

Q4の確認先は、金銭消費貸借契約証書か銀行マイページの「契約内容照会」です。5年ルール・125%ルールは法律で義務付けられた制度ではなく、採用するかどうかは金融機関ごとの商品性です。「あるはず」で進めないでください。

主な原因を深掘り:5年ルール・125%ルールの出口リスク

5年ルール・125%ルールは「返済額が急に増えない」仕組みであって、「支払総額が増えない」仕組みではありません。抑えられた分は未払利息として繰り延べられます

多くの解説記事は、この2つのルールを安心材料として紹介して終わっています。しかし読者が本当に確認すべきは、次の3点です。

そもそもルールがない金融機関がある

5年ルール(金利が上がっても5年間は毎月返済額を据え置く)と125%ルール(見直し後の返済額は従前の125%を上限とする)は、業界の慣行であって全金融機関共通の制度ではありません。ソニー銀行やSBI新生銀行など、これらのルールを採用せず金利上昇を返済額に速やかに反映する金融機関があります。

不採用の場合、金利が上がればその分は次の見直しからストレートに返済額へ反映されます。「据え置き期間がある前提」で家計を組んでいると、想定より早く増加が来ます。

抑えられた分は消えず、残高に積み上がる

返済額が据え置かれても、金利上昇分の利息は発生しています。毎月の返済額のうち利息部分が増え、元金充当分が減るため、元金の減りが遅くなります。利息が返済額を上回ると、その差額は「未払利息」として蓄積します。

この未払利息は消えるわけではなく、金融機関によっては最終回に一括で請求される、あるいは返済期間終了時にまとめて精算されることがあります。5年ルールは支払いを平準化する装置であって、免除する装置ではありません。

注意

「返済額が変わっていないから大丈夫」という判断は危険です。返済額が同じでも、元金がどれだけ減っているかは変わります。年に一度届く残高証明書で、前年比の元金減少額が想定通りかを必ず確認してください。

確認の動線(今日できること)

  1. 金銭消費貸借契約証書の「利率」「金利の見直し」の条項を読む
  2. 銀行のマイページで「契約内容照会」から返済額見直しのルールを確認する
  3. 記載が見つからなければ、ローンセンターに「5年ルール・125%ルールの適用有無」と「未払利息が発生した場合の取り扱い」を電話で確認する
まとめ

5年ルール・125%ルールは時間を買う仕組みです。買った時間を繰上返済や積立に使わないと、出口で負担が集中します。

原因別の見分け方:自分はどのタイプで詰まるのか

金利上昇で家計が苦しくなる経路は3つあり、対処法はそれぞれ違います。「返済額が増える」「元金が減らない」「借り換えられない」を分けて考えてください

タイプ1:返済額そのものが増えて苦しい

見分け方は、金利タイプ変更や5年ルールの適用がなく、見直しのたびに毎月の引き落とし額が上がっているケースです。原因は単純に借入残高が大きく、上昇幅がそのまま金額に効いているためです。

対処は、返済額の圧縮(繰上返済・期間延長の相談)か、固定への切り替えによる上限の設定です。残期間が長いほど固定化の効果は大きくなります。

タイプ2:返済額は同じなのに元金が減っていない

5年ルール適用中に起きます。引き落とし額が変わらないため気づきにくいのが厄介な点です。見分け方は、残高証明書で前年比の元金減少額を確認し、当初の返済予定表と比べることです。差が出ていれば利息部分が膨らんでいます。

対処は、増えた利息相当分を任意で繰上返済し、元金の減りを予定通りに戻すことです。据え置かれた期間に何もしないと、5年後の見直しで125%の上限まで一気に上がります。

タイプ3:借り換えたいのに動けない

借り換えは新規借入と同じ扱いで、再審査が必要です。転職直後、収入が下がった、他の借入が増えた、健康状態が変わって団体信用生命保険に入れない、といった事情があると通らないことがあります。

「いざとなったら借り換える」は、審査に通る状態を維持していることが前提の戦略です。対処は、借り換えの余地があるうちに(=審査に通る状態のうちに)金利タイプの方針を決めておくことです。

補足

同じ金融機関内での金利タイプ変更は、借り換えより手続きが軽い場合があります。ただし適用金利は「変更時点の基準金利 − 既存の引き下げ幅」で決まるのが一般的で、新規向けの店頭金利より高くなることがあります。必ず変更後の適用金利を書面で確認してください。

具体的な解決方法:今から固定に変えるのは得か

2026年8月時点で変動0.945〜1.275%、フラット35が3.290%。差は約2ポイントあり、切り替えた直後から支払いは増えます。判断は「何%まで上がると逆転するか」の試算が先です

これが上位記事の最大の空白です。「不安なら固定へ」と結ぶ記事は多いものの、2026年時点で固定はすでに3%台に乗っており、乗り換えは「上がる前に増える」選択になります。

試算の手順(4ステップ)

  1. 現在の変動での総返済額を出す:残高・残期間・現在の適用金利で、金利が変わらない前提の総返済額を算出します(銀行のシミュレーターで可)。
  2. 固定に変えた場合の総返済額を出す:フラット35なら3.290%、同一行の固定期間選択型なら「変更時点の基準金利 − 既存の引き下げ幅」で試算を依頼します。
  3. 変動が段階的に上がるシナリオを置く:「2年後に+0.5pt、5年後にさらに+0.5pt」など、複数のシナリオで変動側を再計算します。
  4. 逆転点を探す:どのシナリオで固定の総返済額を上回るかを確認します。逆転が起きるのが20年後なら、残期間が10年の人にとって切り替えは割高です。

判断の分かれ目

  • 残期間が長い(20年以上)+ 返済負担率が高い:固定化の保険料としての意味が大きくなります。上昇の影響を受ける期間が長いためです。
  • 残期間が短い(15年未満):残高が減っているため上昇の絶対額が小さく、いま固定に変えるほうが支払総額が増えやすいです。変動継続+繰上返済のほうが噛み合います。
  • 中間層:固定期間選択型で、教育費ピークなど「増えると困る期間」だけ固定するのが現実的な折衷案です。
注意

借り換えには事務手数料・保証料・登記費用などの諸費用がかかります。金利差だけで比較すると判断を誤ります。諸費用を含めた総額で比較し、何年で回収できるかを確認してください。

使える制度も確認する

国土交通省によると、住宅ローン減税は適用期限が5年延長され、令和8年1月1日〜令和12年12月31日の入居が対象です。省エネ性能の高い既存住宅は借入限度額の引き上げ・控除期間13年への拡充があり、床面積要件は40㎡以上(一部世帯は50㎡以上)に緩和されています(国土交通省「住宅ローン減税」)。

控除を受けている期間は、繰上返済で残高を減らすと控除額も減る場合があります。繰上返済のタイミングは、控除額との兼ね合いで検討してください。

住宅ローン 変動金利 固定金利 違いを持たない人へ:奨学金・教育ローンの変動/固定

家を買う予定がなくても、変動/固定の選択は奨学金で先に来ます。JASSO第二種奨学金には利率固定方式と利率見直し方式があり、上限は年3.0%です

住宅ローンの解説記事は「家を買う人向け」に書かれており、賃貸の一人暮らしや家を買う予定のない読者は置いていかれます。しかし家計管理初心者が最初に直面する変動/固定は、多くの場合むしろ奨学金です。

JASSO第二種奨学金の2方式

日本学生支援機構(JASSO)によると、第二種奨学金には次の選択制があります。

  • 利率固定方式:貸与終了時に決まった利率が、返還完了まで適用される
  • 利率見直し方式:返還期間中、おおむね5年ごとに利率を見直す

いずれも上限は年3.0%で、在学中と返還期限猶予期間中は無利息です(JASSO「第二種奨学金に係る利率算定方法の選択制の導入について」)。

住宅ローンの変動金利に上限がないのに対し、奨学金には3.0%という天井があります。この差は決定的です。上限がある「変動」と、上限のない「変動」は、同じ言葉でもリスクの性質がまったく違います

住宅ローン以外もある「変動/固定」早見表

商品金利タイプ2026年時点の水準見直し周期金利の上限契約後の変更
JASSO第二種(利率見直し方式)変動年1.874%(令和8年4月時点とされる値・要公式確認)おおむね5年ごと年3.0%一定の手続きで変更可
JASSO第二種(利率固定方式)固定年2.722%(令和8年4月時点とされる値・要公式確認)なし年3.0%一定の手続きで変更可
国の教育ローン(日本政策金融公庫)固定年4.05%(令和8年7月時点)なし不可
住宅ローン変動型(大手行)変動0.945〜1.275%(2026年8月)半年(4/1・10/1改定、反映は2〜3か月後)なし可(再試算必要)
フラット35(全期間固定)固定年3.290%(2026年8月最頻)なしなし借り換えのみ
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※JASSOの利率は解説記事で報じられた値を含みます。実際の適用利率は貸与終了年月ごとに異なるため、JASSO「第二種奨学金の貸与利率」ページで必ず最新の公式値をご確認ください。

ポイント

表を横に読むと、金利水準の順番が直感と逆であることが分かります。2026年8月時点では、住宅ローンの変動(約1%)が最も低く、国の教育ローン(固定4.05%)が最も高い状態です。「固定=安心」の対価が、金額として体感できる水準になっています。

奨学金残債200万円の小型試算

住宅ローンと同じ式を、奨学金に当てはめてみます。残債200万円・残返済期間14年(168回)で、利率見直し方式の1.874%から上限の3.0%まで上がった場合です。

  • 年1.874%:毎月約13,500円
  • 年3.0%:毎月約14,600円
  • 差額:月あたり約1,100円、年間で約1.3万円

※本記事の独自試算(元利均等・概算)。JASSOの返還方式は貸与額により月額が決まる仕組みのため、実際の返還額は返還誓約書・スカラネットの返還金額照会でご確認ください。

上限3.0%まで上がっても月1,000円台の差にとどまります。住宅ローンの3,000万円で+2.0ptなら月3万円超だったのと比べると、桁が2つ違うのが分かります。奨学金では「変動か固定か」で悩むより、返還を滞らせない・繰上返還の余力を作るほうが家計へのインパクトが大きい、というのが率直なところです。

補足

国の教育ローン(教育一般貸付)は固定金利で年4.05%(令和8年7月時点)、融資限度額は子ども1人につき350万円(一定の要件に該当する場合・海外留学は450万円)です(日本政策金融公庫)。奨学金より金利が高いため、併用する場合は返済順序の設計が効きます。

ケース別の対処(4つの家計パターン)

同じ「変動 vs 固定」でも、残期間・世帯構成・貯蓄で答えは変わります。代表的な4パターンで方針を示します

ケース1:30代ファミリー・借入3,500万円・残32年・子ども未就学

教育費のピークが10〜15年後に来ます。返済負担率が25%以内で貯蓄に余裕があれば変動継続、余裕が薄ければ教育費ピークをカバーする期間だけ固定期間選択型が噛み合います。判定チャートでは結論Cに該当しやすいパターンです。

次の一手は、大学入学年から逆算して固定期間の長さを決め、その期間の適用金利を試算依頼することです。

ケース2:50代・借入残1,200万円・残12年

残期間が短く残高も減っているため、+1.0ptでも増加額は限定的です。いま3.290%の固定へ切り替えると、上昇前から支払いが増える可能性が高くなります。結論Bの「変動継続+繰上返済」が現実的です。

次の一手は、退職金での一括返済の是非を含め、期間短縮型の繰上返済の手数料を確認することです。

ケース3:共働き・ペアローン・世帯借入5,000万円

借入額が大きいぶん、1ptの上昇が月2万円超のインパクトになります。片方の収入が育休・時短で下がる期間があるなら、その期間の耐性を基準に判断してください。世帯合計ではなく「一番細る時期の手取り」で圧迫率を計算するのが要点です。

次の一手は、収入が最も細る年を特定し、その年の手取りで圧迫率を再計算することです。

ケース4:賃貸・一人暮らし・住宅ローンなし・奨学金返還中

住宅ローンの金利タイプに悩む必要はありません。優先度が高いのは、①奨学金の方式(固定/見直し)と適用利率を確認する、②返還が苦しいときは減額返還・返還期限猶予の制度を早めに相談する、の2点です。

注意

奨学金の延滞は延滞金の発生に加え、信用情報に登録される場合があります。将来の住宅ローン審査にも影響しうるため、支払いが厳しくなった時点でJASSOへ相談してください。放置が最も高くつく選択です。

予防・再発防止のコツ(上がっても慌てないための習慣)

金利上昇への備えは、上がってから動くのではなく「上がる前に増加分を先に払う練習をしておく」ことです。差額積立が最も再現性の高い方法です

1. 差額の先取り積立を仕組み化する

+1.0pt相当の増加額(3,000万円なら月約14,600円)を、給料日翌日に自動振替で別口座へ積み立てます。これには2つの効果があります。

  • 耐性テスト:本当にその金額を吸収できるか、実際の生活で検証できる
  • 原資の確保:上がらなければ繰上返済の原資、上がれば増加分の受け皿になる

2. 年1回、残高証明書で元金の減りを確認する

5年ルール適用中は返済額が変わらないため、元金の進捗が唯一の異常検知手段になります。前年比の元金減少額を当初の返済予定表と比べ、乖離があれば早めに繰上返済で戻します。

3. 改定日をカレンダーに入れる

多くの銀行の基準金利改定は4月1日・10月1日です。この2つの日付の直後に「通知の確認」を予定として入れておくと、2〜3か月後の返済額増加に対する準備期間を丸ごと使えます

4. 借り換えの選択肢を維持する

借り換えには再審査があります。転職や大きな借入を検討する際は、住宅ローンの選択肢が狭まる可能性を頭に入れておいてください。健康状態も団信の審査に関わります。

まとめ

変動を選ぶことは「上昇分を自分で管理する」という選択です。管理の実体は、差額積立・元金の確認・改定日の把握という地味な3つの習慣に尽きます。

専門家・公的情報の見解:市場はどう動いているか

住宅金融支援機構の2026年1月調査では、変動型の選択比率が75.0%と、前回の79.0%から4.0ポイント低下しました。利上げを受けて選択を見直した人が半数近くに達しています

住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査結果(2026年1月調査)」(2026年2月20日公表、調査期間2026年1月7日〜20日、回答1,500件)によると、金利タイプの選択比率は次の通りです。

金利タイプ2026年1月調査前回(2025年4月調査)変化
変動型75.0%79.0%−4.0pt
固定期間選択型14.9%12.2%+2.7pt
全期間固定型10.1%8.8%+1.3pt
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さらに同調査では、日銀の利上げにより「住宅ローン選択などに変化があった」と回答した人が49.7%と、半数近くに達しています。

変動型は依然として4人に3人が選ぶ主流ですが、固定側へのシフトが両方向(固定期間選択型・全期間固定型ともに増加)で起きている点が2026年の特徴です。(住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査」)

数字の読み方に注意

「変動が減っている=固定が正解」という読み方は短絡的です。この調査は新規利用者の選択であり、すでに変動で借りている人が固定へ乗り換えるべきかとは別の問題です。

新規契約者は、いまの変動(約1%)と固定(3%台)を同じスタートラインで比べています。一方、既存の変動契約者は「低い引き下げ幅込みの金利」をすでに持っているため、条件が違います。他人の選択比率ではなく、自分の圧迫率で判断してください。

補足

一次資料は住宅金融支援機構の公式ページ(住宅ローン利用者の実態調査)で公開されており、過去回の時系列データも確認できます。金利の実測値は日本銀行「長・短期プライムレート(主要行)の推移」、フラット35の金利は【フラット35】公式サイトが一次情報です。

やってはいけないNG対応

最も避けたいのは、試算せずに「不安だから固定へ」と動くことです。2026年は乗り換えた瞬間に支払いが増える水準にあります

  1. 試算なしで固定へ切り替える:変動約1%→固定3.290%は約2ポイントの差です。総返済額の逆転点を確認せずに動くと、リスク回避の対価が想定を超えます。
  2. 5年ルールがある前提で家計を組む:ソニー銀行・SBI新生銀行など不採用の金融機関があります。契約書で確認していないなら「ない前提」で備えるほうが安全です。
  3. 返済額が変わらないから安心だと判断する:5年ルール適用中は元金の減りが遅くなっています。残高証明書で確認しないと、5年後の見直しで初めて気づくことになります。
  4. 他人の選択比率で決める:変動75.0%という数字は新規利用者の傾向であって、あなたの返済負担率や残期間とは無関係です。
  5. 借り換えをいつでもできると思い込む:借り換えは再審査が必要です。転職直後や健康状態の変化があると通らない場合があります。
  6. 金利差だけで借り換えを比較する:事務手数料・保証料・登記費用などの諸費用を含めた総額と、回収年数で比べてください。
  7. 奨学金の延滞を放置する:減額返還や返還期限猶予の制度があります。延滞は延滞金と信用情報への影響を招くため、早めの相談が最も安く済みます。
注意

金融機関や比較サイトの試算は、前提条件(諸費用の扱い、金利上昇シナリオの有無)によって結果が変わります。複数の試算を取り、前提を揃えて比べてください。判断に迷う場合は、ファイナンシャル・プランナーなどの専門家や、契約先の金融機関の窓口にご相談ください。

まとめ:次にやる1つのこと

2026年の変動/固定の議論は、「いつか上がるかも」ではなく「すでに上がった後、あと何%耐えられるか」の話になりました。要点は3つです。

  • 判断の起点は金利タイプの比較ではなく、自分の借入額での増加額と圧迫率。+1.0ptの増加額 ÷ 手取り月収が3%以内なら変動継続、5%超なら固定を検討する水準です。
  • 5年ルール・125%ルールは「ある前提」で組まない。不採用の金融機関があり、抑えられた分は未払利息として繰り延べられます。契約書で確認してください。
  • 固定への切り替えは逆転点の試算が先。2026年8月時点で変動約1%・フラット35が3.290%。残期間が短い人ほど、切り替えは割高になりやすい構図です。

今日やる1つは、銀行のマイページで「適用金利」「引き下げ幅」「残高」「残期間」の4つをメモすることです。この4つがあれば、この記事のどの試算も自分の数字で置き換えられます。

まとめ

変動か固定かは性格の問題ではなく、家計の耐性という数字の問題です。数字を先に出せば、迷う時間は大幅に減ります。

よくある質問

固定金利と変動金利の違いを一言で言うと何ですか?

連動する指標と、リスクを誰が負うかの違いです。変動金利は短期プライムレート(政策金利)に連動して原則半年ごとに見直され、金利上昇のリスクを借りる側が負います。固定金利は長期金利をもとに借入時に決まり、金融機関側がリスクを負うぶん当初の金利は高めに設定されます。2026年8月時点では変動が約0.945〜1.275%、フラット35が3.290%と、その差は約2ポイントです。

金利 固定と変動の違いは奨学金にもありますか?

あります。JASSO第二種奨学金には利率固定方式と利率見直し方式があり、いずれも上限は年3.0%です。利率見直し方式はおおむね5年ごとに利率が見直され、利率固定方式は貸与終了時の利率が返還完了まで適用されます。在学中と返還期限猶予期間中は無利息です(日本学生支援機構)。住宅ローンの変動に上限がないのに対し、奨学金には3.0%の天井がある点が大きな違いです。

住宅ローン 固定金利と変動金利の違いは、いま借りる人と借りている人で判断が変わりますか?

変わります。既存の契約者は契約時に決まった引き下げ幅を持っているため、新規契約者と比較の前提が違うためです。適用金利は「基準金利 − 引き下げ幅」で決まり、引き下げ幅は原則として完済まで変わりません。金利タイプを変更する場合の適用金利も「変更時点の基準金利 − 既存の引き下げ幅」で決まるのが一般的です。他人の選択比率ではなく、自分の適用金利と残期間で判断してください。

2026年に金利が上がったら、いつから返済額が増えますか?

2026年8月3日に短期プライムレートが上がっても、返済額に効くのは2027年1月頃と見込まれます。多くの銀行は変動金利の基準金利を原則年2回(4月1日・10月1日)改定し、適用金利への反映まで2〜3か月の時間差があります(三菱UFJ銀行の案内による)。この期間を使って、増加見込み額の先取り積立を試すことができます。実際の時期は金融機関ごとに異なるため、契約先の通知をご確認ください。

5年ルールがあれば、金利が上がっても損はしないのですか?

返済額の急増は抑えられますが、支払総額が減るわけではありません。据え置き期間中も利息は発生しており、元金の減りが遅くなります。利息が返済額を上回ると未払利息として繰り延べられ、最終回にまとめて請求される場合があります。さらに、ソニー銀行・SBI新生銀行など同ルールを採用しない金融機関もあるため、まず契約書やマイページで適用の有無をご確認ください。

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本記事の金利・制度に関する情報は2026年8月30日時点で確認できる公表資料にもとづいています。金利や制度は変更される可能性があるため、実際の判断にあたっては金融機関の最新の公表金利、JASSO・日本政策金融公庫・国土交通省などの公式情報をご確認のうえ、必要に応じてファイナンシャル・プランナーや契約先の金融機関にご相談ください。

最終確認日:2026年8月30日

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